ブログに「社員をうつ病にする方法」 社労士を調査へ
2015年12月19日16時58分 asahi.com愛知県内のベテラン社会保険労務士の男性が「社員をうつ病に罹患(りかん)させる方法」と題した文章をブログに載せ、県社労士会が問題視して今月に調査を始めた。職場での取り組みに逆行するような発信はネットでも批判され、厚生労働省愛知労働局も事態を重く見て調べる方針だ。
問題の文章が載ったのは11月下旬。「すご腕社労士の首切りブログ モンスター社員解雇のノウハウをご紹介!!」と題した連載の40回目で、上司に逆らったり遅刻したりする社員を「うつ病にして会社から追放したいのだが」という質問に答える形だった。
ブログでは、「失敗や他人へ迷惑をかけたと思っていること」などを社員に繰り返しノートに書かせるよう勧めた。「うつ状態は後悔の量が多いほど発症しやすい」とし、社員が自殺した場合の助言もあった。
ネットでは「あまりにひどい」などの批判が起きた。「ふざけるな!」といったメールを数件受けた男性社労士は「怖くなった」として、12月上旬に連載をすべて削除した。
国家資格の社労士は「適切な労務管理その他労働・社会保険に関する指導を行う専門家」(愛知県社労士会)。同会では40回目の内容について「多くの人が自殺に追い込むような主張と読む。同じ社労士として迷惑だ」と批判が出ており、調査を開始した。
関係者によると、会則で処分対象となる社労士の「信用または品位を害する行為」にあたりかねないとして監察綱紀委員会を10日に開催。男性社労士は聴取に対し、「うつ病に罹患させる」というのは本旨でなく「筆が走りすぎた」としつつ、「表現の自由」の範囲内と主張したという。
厚労省にも苦情が続き、18日には日本労働弁護団や全国過労死を考える家族の会など6団体が「若者使い捨てが疑われる企業に違法行為を教唆する極めて悪質なもの」として監督責任を果たすよう要請した。
愛知労働局は社労士法上の「重大な非行」にあたるかどうかを調べる方針だ。担当者は「ブログの内容は時代に逆行している。社員が自殺しても構わないととられる論調はどう考えても行きすぎ」と指摘する。
男性社労士は取材に対し、「不快に思った人におわび申し上げる。雑記帳のように書き誤解を招いた。強烈な教育的指導で社員が真人間になれば、社員も会社も楽しくなるというつもりで書いた」と話した。
厚労省によると、仕事のストレスなどによる「心の病」の問題で昨年度に労災と認められた人は497人で過去最多。職場でメンタルヘルスが不調な人を見つけて改善を促すため、政府は12月から従業員50人以上の事業所で「ストレスチェック」を義務化している。(斉藤太郎)
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