<資料庫>「マイクロ波」という見えない兵器 外交官の不調と関係は NY times
ニューヨークタイムズ 世界の話題 2018.10.08
米外交官らが聴覚障害などを訴えた中国・広州にある米総領事館=2018年6月6日、Lam Yik Fei/©2018 The New York Times
冷戦の時代、米政府はソ連(当時)がマインドコントロールを仕掛ける秘密兵器にマイクロ波を転用しているのではないかと懸念していた。
その後、米軍は自ら「マイクロ波兵器」の開発に手を付けた。目には見えないビーム照射で苦痛を起こす大音響を発生させたり、人間の頭の中に直接話しかけたりする。目的は相手の攻撃能力をそぎ、心理戦を展開するためだった。
時を経て今日、この非通常兵器が、医師や科学者たちの関心を集めている。2016年末からキューバや中国で、米外交官やその家族に原因不明の病気が相次いだ。それを引き起こしたのはマイクロ波兵器ではないか、との意見が出ているのだ。
キューバで聴覚障害などを訴えた米外交官21人を検査した医療チームは、18年3月に発行された米医師会の総合医学誌JAMAで詳しい報告書を発表した。だがマイクロ波への言及はなかった。しかし、報告書の主執筆者でペンシルベニア大学脳損傷治療センター所長のダグラス・スミスは、最近のインタビューで発症の主因はマイクロ波によるものとみられる、と語った。同時に、外交官たちは脳損傷を起こしていたとの見方が医療チーム内でも強まっている、と明かした。
外交官が感じたトラウマ(心的外傷)について、スミスは「最初はチームの誰もが少し疑っていた」と言った。
だが、今や何人かの専門家は、耐え難い音響、苦しさ、トラウマといった症例事案は、音響攻撃やウイルス感染などよりマイクロ波による被害とする方がずっと説明しやすい、と主張する。
とりわけ多くの分析医が引用するのが、米科学者アラン・フレイにちなんでつけられた「フレイ効果」という異常現象だ。ずいぶん前の話だが、彼はマイクロ波が人間の脳に幻聴を引き起こすことができる、と気づいた。つまり脳をだまして通常音と同じように認識させる。
この偽の聴覚現象は、今回の外交官の聴覚障害事件――キーンという耳鳴りやブンブンと鳴り響いたり、ぎしぎしきしんだ音がしたりする騒々しい音が聞こえた――の主原因でありうると専門家は話している。専門家は最初、こうした症状は音響兵器(sonic weapon)でひそかに攻撃された証拠だと言っていた。
政府に協力しているエリート科学者だけの内輪のグループJASONのメンバーたちは、国家安全保障への新たな脅威とみている。そのうえで、外交官たちの謎の聴覚障害を詳しく調べ、マイクロ波を含めてあらゆる可能性を追求している、と話している。
マイクロ波に関して国務省に問い合わせると、調査はまだ原因や加害手段の特定には至っていないという。連邦捜査局(FBI)は調査状況や原因についてのコメントを拒否した。
マイクロ波説には不可解な問題がいっぱいある。
誰がマイクロ波ビームを照射したのか?ロシア政府か?キューバ政府か?それともキューバの親ロシア派のならず者組織か?
だとしたら、連中はどこからこの非通常兵器を手に入れたのか?
マイクロ波は現代社会の日常生活のいたるところに存在する。短波レーダー、食品の加熱、メッセージの伝達、アンテナ塔とつながる携帯電話。これらはいずれも明かりやX線と同じスペクトルを行き交う電磁波の放射だ。ただ波長が違うだけなのだ。
ラジオ放送では1マイル(約1・6キロ)かそれ以上の波長が使えるが、マイクロ波の波長はおおむね約1フィート(約30・5センチ)から1インチ(約2・5センチ)まで幅がある。電子レンジで食品を加熱するといった日常での使用には害がないとみられている。しかし、マイクロ波のように波長が短いと、パラボラアンテナがバラバラの電磁波を集束するように焦点照射ができる。
人間の頭部はマイクロ波信号を受信するのに都合よくできている、と科学者たちは言う。
生物学者のフレイは、1960年に偶然その音響効果に気づいたと語っている。ソ連もマイクロ波の音響効果に気づいた。その脅威は表面化しないまま、国際的に広まっていった。
米国防情報局(DIA)は76年、ソ連が「内部音響知覚(internal
sound
perception)」に関してマイクロ波の研究をしていると指摘。これは「軍人や外交官の行動パターンを攪乱(かくらん)させるうえでとんでもない効果を発揮する」と警告した。しかし、その一方で米政府も新たな兵器開発を見越していた。米空軍の科学者たちはニューメキシコ州アルバカーキで、マイクロ波を使って敵対する人間の脳内に分かりやすい言葉で話しかける「兵器」を探っていたのだった。
人間の脳を弱体化させたり、脳内に騒音をまき散らしたり、殺人すら可能なマイクロ波兵器の製造方法は、ロシア、中国、それに多くの欧州諸国もすでに持っているとみられる。専門家によると、先進技術を使えば人間の脳内にビームを照射しながら話しかけるといった細工すらできるようだ。こうした不気味な兵器をどの国が保有し、使用しているのか。それを知っているのは諜報(ちょうほう)機関だけだ。
初歩的なマイクロ波兵器は、一見パラボラアンテナのようなもので、手で持ち歩くのも、トラックや車、あるいはボートやヘリコプターに収容するのも、理論的には可能だ。しかも、2部屋ないし3部屋離れた所、あるいは数ブロック先、と比較的短い距離で照射できるといわれる。これが高出力のマイクロ波兵器になると、数マイル離れた目標にも照射できるようだ。
ハバナの米大使館で起きた不可思議な事件については、2018年1月に上院公聴会が公開された。だが、マイクロ波による衝撃にはまったく触れなかった。しかし、同月に出された学術論文では、フレイ効果の調査では第一人者のイリノイ大学のジェームス・リンが、外交官の聴覚障害などはマイクロ波ビームによって引き起こされたと考える方が分かりやすい、と記していた。
論文の中で、リンは高強度のマイクロ波ビームが外交官の脳内に騒音を起こしただけでなく、吐き気や頭痛、めまい、同時におそらく脳組織の損傷まで引き起こしたのではないか、と述べている。マイクロ波ビームは「狙ったターゲットだけ」を極秘に照射でき得る、とも記している。
同年2月には、プロパブリカ(ProPublica、調査報道NPO)が詳細な報告書を出し、連邦捜査員がマイクロ波説に重点を置いていると明かした。また、それとは別に、ある興味深い事実に触れている。大使館員の妻が騒音を聞いた直後に自宅の外をのぞくと、一台のバン型車が猛スピードで走り去ったのを目撃したというのだ。パラボラアンテナなら小型のバンにも簡単に収納できる。
3月のJAMA論文で、キューバの米外交官を検査した医療チームは、聴覚障害などの症状は、高強度の指向性をもった「不明なエネルギー源」によって引き起こされた、と指摘。また、何人かの外交官は耳や頭を覆ってみたが、騒音が低下することはなかった、とも記した。医療チームとしては、外交官たちは頭部に何の衝撃も受けないのに脳振盪(しんとう)の症状が出たようだ、と述べるにとどまった。
だが5月になって、今度は中国駐在の複数の米外交官が同じようなトラウマに苦しんだ。国務長官マイク・ポンペオは、キューバと中国の医療報告内容は両方とも「完全に一致している」と述べた。国務省は6月末までに少なくとも11人の米国人を中国から撤退させた。
今回の事件について、フレイに聞いてみた。すると彼は、すぐに解決されるとは思わない、と言った。いずれも散発的なもので、しかも外国で発生しているため、FBIによる証拠集めが難しい。結論を引き出すのも困難、ましてや犯人を訴追するのは至難のわざだ、とフレイ。
「私が知る限りのことから判断すれば、事件は謎のままだろう」。そう言うのだった。(抄訳)
(William J. Broad)©2018 The New York Times
その後、米軍は自ら「マイクロ波兵器」の開発に手を付けた。目には見えないビーム照射で苦痛を起こす大音響を発生させたり、人間の頭の中に直接話しかけたりする。目的は相手の攻撃能力をそぎ、心理戦を展開するためだった。
時を経て今日、この非通常兵器が、医師や科学者たちの関心を集めている。2016年末からキューバや中国で、米外交官やその家族に原因不明の病気が相次いだ。それを引き起こしたのはマイクロ波兵器ではないか、との意見が出ているのだ。
キューバで聴覚障害などを訴えた米外交官21人を検査した医療チームは、18年3月に発行された米医師会の総合医学誌JAMAで詳しい報告書を発表した。だがマイクロ波への言及はなかった。しかし、報告書の主執筆者でペンシルベニア大学脳損傷治療センター所長のダグラス・スミスは、最近のインタビューで発症の主因はマイクロ波によるものとみられる、と語った。同時に、外交官たちは脳損傷を起こしていたとの見方が医療チーム内でも強まっている、と明かした。
外交官が感じたトラウマ(心的外傷)について、スミスは「最初はチームの誰もが少し疑っていた」と言った。
だが、今や何人かの専門家は、耐え難い音響、苦しさ、トラウマといった症例事案は、音響攻撃やウイルス感染などよりマイクロ波による被害とする方がずっと説明しやすい、と主張する。
とりわけ多くの分析医が引用するのが、米科学者アラン・フレイにちなんでつけられた「フレイ効果」という異常現象だ。ずいぶん前の話だが、彼はマイクロ波が人間の脳に幻聴を引き起こすことができる、と気づいた。つまり脳をだまして通常音と同じように認識させる。
この偽の聴覚現象は、今回の外交官の聴覚障害事件――キーンという耳鳴りやブンブンと鳴り響いたり、ぎしぎしきしんだ音がしたりする騒々しい音が聞こえた――の主原因でありうると専門家は話している。専門家は最初、こうした症状は音響兵器(sonic weapon)でひそかに攻撃された証拠だと言っていた。
政府に協力しているエリート科学者だけの内輪のグループJASONのメンバーたちは、国家安全保障への新たな脅威とみている。そのうえで、外交官たちの謎の聴覚障害を詳しく調べ、マイクロ波を含めてあらゆる可能性を追求している、と話している。
ハバナの米大使館=2015年、Meridith Kohut/©2018 The New York Times
マイクロ波説には不可解な問題がいっぱいある。
誰がマイクロ波ビームを照射したのか?ロシア政府か?キューバ政府か?それともキューバの親ロシア派のならず者組織か?
だとしたら、連中はどこからこの非通常兵器を手に入れたのか?
マイクロ波は現代社会の日常生活のいたるところに存在する。短波レーダー、食品の加熱、メッセージの伝達、アンテナ塔とつながる携帯電話。これらはいずれも明かりやX線と同じスペクトルを行き交う電磁波の放射だ。ただ波長が違うだけなのだ。
ラジオ放送では1マイル(約1・6キロ)かそれ以上の波長が使えるが、マイクロ波の波長はおおむね約1フィート(約30・5センチ)から1インチ(約2・5センチ)まで幅がある。電子レンジで食品を加熱するといった日常での使用には害がないとみられている。しかし、マイクロ波のように波長が短いと、パラボラアンテナがバラバラの電磁波を集束するように焦点照射ができる。
人間の頭部はマイクロ波信号を受信するのに都合よくできている、と科学者たちは言う。
生物学者のフレイは、1960年に偶然その音響効果に気づいたと語っている。ソ連もマイクロ波の音響効果に気づいた。その脅威は表面化しないまま、国際的に広まっていった。
メリーランド州ポトマックで暮らすアラン・フレイ=2018年8月9日、Alex Wroblewski/©2018 The New York Times
人間の脳を弱体化させたり、脳内に騒音をまき散らしたり、殺人すら可能なマイクロ波兵器の製造方法は、ロシア、中国、それに多くの欧州諸国もすでに持っているとみられる。専門家によると、先進技術を使えば人間の脳内にビームを照射しながら話しかけるといった細工すらできるようだ。こうした不気味な兵器をどの国が保有し、使用しているのか。それを知っているのは諜報(ちょうほう)機関だけだ。
初歩的なマイクロ波兵器は、一見パラボラアンテナのようなもので、手で持ち歩くのも、トラックや車、あるいはボートやヘリコプターに収容するのも、理論的には可能だ。しかも、2部屋ないし3部屋離れた所、あるいは数ブロック先、と比較的短い距離で照射できるといわれる。これが高出力のマイクロ波兵器になると、数マイル離れた目標にも照射できるようだ。
ハバナの米大使館で起きた不可思議な事件については、2018年1月に上院公聴会が公開された。だが、マイクロ波による衝撃にはまったく触れなかった。しかし、同月に出された学術論文では、フレイ効果の調査では第一人者のイリノイ大学のジェームス・リンが、外交官の聴覚障害などはマイクロ波ビームによって引き起こされたと考える方が分かりやすい、と記していた。
論文の中で、リンは高強度のマイクロ波ビームが外交官の脳内に騒音を起こしただけでなく、吐き気や頭痛、めまい、同時におそらく脳組織の損傷まで引き起こしたのではないか、と述べている。マイクロ波ビームは「狙ったターゲットだけ」を極秘に照射でき得る、とも記している。
同年2月には、プロパブリカ(ProPublica、調査報道NPO)が詳細な報告書を出し、連邦捜査員がマイクロ波説に重点を置いていると明かした。また、それとは別に、ある興味深い事実に触れている。大使館員の妻が騒音を聞いた直後に自宅の外をのぞくと、一台のバン型車が猛スピードで走り去ったのを目撃したというのだ。パラボラアンテナなら小型のバンにも簡単に収納できる。
3月のJAMA論文で、キューバの米外交官を検査した医療チームは、聴覚障害などの症状は、高強度の指向性をもった「不明なエネルギー源」によって引き起こされた、と指摘。また、何人かの外交官は耳や頭を覆ってみたが、騒音が低下することはなかった、とも記した。医療チームとしては、外交官たちは頭部に何の衝撃も受けないのに脳振盪(しんとう)の症状が出たようだ、と述べるにとどまった。
だが5月になって、今度は中国駐在の複数の米外交官が同じようなトラウマに苦しんだ。国務長官マイク・ポンペオは、キューバと中国の医療報告内容は両方とも「完全に一致している」と述べた。国務省は6月末までに少なくとも11人の米国人を中国から撤退させた。
今回の事件について、フレイに聞いてみた。すると彼は、すぐに解決されるとは思わない、と言った。いずれも散発的なもので、しかも外国で発生しているため、FBIによる証拠集めが難しい。結論を引き出すのも困難、ましてや犯人を訴追するのは至難のわざだ、とフレイ。
「私が知る限りのことから判断すれば、事件は謎のままだろう」。そう言うのだった。(抄訳)
(William J. Broad)©2018 The New York Times
<資料庫> 半径2メートルに公安が立っている「異常な日常」おしどりマコ×広瀬隆対談より抜粋
「半径2メートルに公安が立っている『異常な日常』 おしどりマコちゃん×広瀬隆対談【パート3】」 より抜粋(ダイヤモンド社)
http://diamond.jp/articles/-/82515
■ 半径2メートルに公安が立っている「異常な日常」
広瀬 亡くなった人たちに共通していたのは、バッシングされたことですね。最近では、右翼からたたかれるケースも増えているようですが。
マコ 一昨年くらいから、直接的な圧力がきたという感じがします。
今年6月には、知り合いや公安OBの人から、「逮捕されるから気をつけろ」と言われました。公安や警察が、
「今日、おしどりはどこにいますか」
「おしどりと、最近いつ会いましたか」
「おしどりは今日、誰と何をしゃべっていますか」
などと、内偵が入ってくるそうです。
「2週間に14回は異様だから、近々逮捕されるよ。弁護士さんの準備をしておいたほうがいい」
と言われました。
2013年秋には2、3週間、常に公安調査庁にマークされていた時期がありました。
広瀬 公安は顔を見ればわかる。目つきが違うから。
私は以前に、知人の新聞記者から「あなたは、いま尾行されている」と教えてもらったことがありました。そういうときは、店に入るんです。
すると尾行している公安が困って立ち止まる。そこで、いきなり目の前に出て、顔をにらむと逃げていきます。マコさんの場合はどんな感じでしたか。
マコ 公園で取材していたら、1メートルくらいの場所に男の人が立っているんです。
取材相手の人が不思議に思って、「マネージャーさんですか?」と聞かれたので、「たぶん、追っかけです」と答えたけれど、実は尾行だったのね。
北茨城市役所に福島のママたちと一緒に取材に行ったときは、2メートルくらいの距離にずっと立っている男性がいました。
「市役所の人ですか?」
「このあたりの人ですか?」
と聞いても、終始無言でした。帰りに福島のママの車に乗せてもらったら、いきなり車のナンバーと顔写真を撮るのです。明らかに「威嚇」です。
広瀬 マコちゃんや私たちはいいけど、一緒にいる人はイヤだよね。その威嚇で、しゃべらせないようにするんだ。
私が浜岡で講演したときは、駐車場に止まっている車のナンバーを、中部電力が全部記録していました。
講演会の参加者にとっては、それが町内で、ものすごい圧力になります。
それから私の経験でいうと、福井と青森は気をつけたほうがいい。時々、殺気を感じます。
敦賀は本当にこわくて、電車の中で取り囲まれたことがありました。講演会が終わって夜遅く一人で列車移動していたら、ジリジリと取り囲まれたから1つ前 の駅で飛び降りた。とにかく福井と青森は気をつけたほうがいい。考えると、両方とも核燃料サイクルに関係しています。プルトニウムに、ね。
マコ 東京電力にも、私たちについて公安調査庁から内偵がきたそうです。私たちが何のために取材しているか、どこかの政党がついているのか、どこからかお金がついているのか、と調べていた。東電が公安調査庁に返事したのは、
「おしどりは、よしもとクリエイティブ・エージェンシーに所属しています」
ということだけだった、そうです。
でも、実際それしかないのよ! 税金のムダ遣い!
広瀬 そうですね。彼らアホは、一体何を考えているんだろう。
公安の予算は大きいから、失業対策だと、私は思ってきましたがね。ただし、いまは公安の裏で、電力会社が、つまり電事連が糸を引いていることは間違いない。
次回は、「まったく報じられない『排気筒問題』と2号機『大惨事』の危険性」について議論しましょう。
※公安警察は誰のために動くのか
日本国語大辞典
そう-く【走狗】
[名]狩りのときに鳥や獣を追い立てるために、人に使われる犬。転じて、人の手先となって使われる者を軽蔑していう語。
※不在地主(1929)〈小林多喜二〉「警察は〈略〉君等の言う通り、資本家の走狗だ」
<資料庫> 除染土 実証事業で埋め立て開始
除染土 実証事業で埋め立て開始
11月30日 16時01分
原発事故に伴う除染で出た土は、福島県以外の7つの県で33万立方メートルに上り、このうち県内では、学校の校庭などおよそ2万4000か所で、合わせて11万立方メートル余りが保管され続けています。
環境省は処分方法を検討しようと、埋め立て処分の安全性を確かめる実証事業をことし8月以降、那須町と茨城県東海村で順次始め、このうち那須町では、造成工事が完了した現場で、30日から埋め立てが始まりました。
現場では、除染で出た土、およそ350立方メートルを1.5メートルの深さに掘った穴にクレーンを使って入れ、重機でならしていきました。
国は、除染土壌からの放射線を遮るため新しい土で覆ったうえで、周囲の空間放射線量や穴の下からしみ出す雨水などの放射性物質濃度を定期的に測定して安全性を確認します。
環境省は、来月中旬に埋め立てを終え、今後、集めたデータをもとに埋め立てによる最終処分が技術的に問題がないかを検討したいとしています。
環境省環境再生事業担当の土田幹隆参事官補佐は「今後、放射性物質に関する不安に応えられるデータをしっかりと集めていきたい」と話しています。
環境省は、これまでの調査・研究から、放射性物質は土などに強く吸着していて、地中の深い場所に移動したり、地下水に溶けたりすることはほとんどないとしていますが、今回の実証事業では、これを確かめるため穴の下に水を遮るシートを敷いて、しみ出す雨水などを集めて放射性物質濃度を測定します。
また、除染土壌が飛び散ったり、周囲への放射線を遮ったりするために、表面に厚さ30センチの新しい土をかぶせて覆い、放射線量を測定します。
福島県以外の除染で出た土については、除染を行った市町村が国の財源で処分を進めることになっていますが、処分に関する基準はないことから、環境省はこの事業の結果をもとにガイドラインを定める方針です。
しかし、ことし9月に環境省が公表した除染土壌を保管する53の市町村などのアンケートでは、処分を検討できる候補地があると回答したのは1自治体にとどまっています。
このアンケートでは、国で処分場所を用意してほしいとか、市町村ごとでなく集約して処分してほしいといった意見も寄せられていて、処分方法が決まったとしても、場所をどのように決めるかなど課題は山積しています。(NHK)
除染土利用の実証試験を初公開 福島県飯舘村で農地造成
2019年5月24日 19:56環境省は24日、東京電力福島第1原発事故で帰還困難区域となっている福島県飯舘村長泥地区で、村内の除染で生じた土を農地造成に再利用する実証試験の現場を初めて報道機関に公開した。
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福島県飯舘村長泥地区で公開された除染土再利用の実証試験=24日午後
福島県の除染土は第1原発近くの中間貯蔵施設で保管するが、環境省は最終処分量を減らすために放射性物質濃度が比較的低い土壌を再利用する方針を掲げている。
長さ約20メートル、幅約3メートルのベルトコンベヤーが装備された分別機と呼ばれる機械で放射性セシウム濃度を測定。1キログラム当たり5千ベクレル以下の土だけを選別する。この土を使い水田だった場所で、盛り土する工事を進めている。(共同通信)
小松満裕さん 監視カメラ音声改ざん疑惑
2017年暮れ、小松さんから裁判で流された防犯カメラの音声が聞き取れない、加工されているという訴えがあったために弁護士に証拠の動画を裁判所から取り寄せていただき、2018年3月8日初めて(私は2017年12月8日の裁判は傍聴していない)動画を視聴することができた。視聴し(3/8)、音声編集ソフトで波形を見た(3/10)段階だが、音声が加工されている疑いが非常に高い。実績のある鑑定機関に一部を見ていただいたところ異様な波形であるとの指摘があった。ところが鑑定費用が捻出できない。4月中旬には弁護士より「裁判所が鑑定に出すという方向で進めている。裁判所に鑑定が必要だと説得できるレポートを作って欲しい」との依頼があり、不自然な箇所を拾い出す作業を始めた。
小松さんが大声を出す場面のみ人為的に音量が上げられ、その結果音は歪み、聞き取りづらい。警戒をしていたという警官の声はほとんど聞き取れない。N巡査の被疑者に対する暴力を非難し、怒りをぶつける場面はノイズをかぶせたようで、全く聞き取れない。そればかりか小松さんが「上野直談判じゃ」というような叫び声の場面も、内容が差し替えられたような違和感がある。途中で切られたような関係のない音声も残っている。読者の方々にもぜひとも聞いていただきたいのだが、現段階では出すことはできない。
音響について素人である私の印象に過ぎないのだが、現段階では高知県警による証拠の改ざんの可能性が高い。証明されると小松さんが「早朝6時20分頃、30メートル離れた場所から拡声器を使い、ハウリングを起こすほどの轟音を響かせ、近所の静穏を乱した」とする場面は創作ということになる。
防犯カメラの音声波形を示し、その不自然さを指摘したい。私のこのブログ記事は鑑定書ではなくあくまでレポートである。
■ 6月13日分の防犯カメラ音声より
※図をクリックで拡大(1) No1 午前6時 15分43秒から6時23分49秒までの音声波形【図1】
波形は異様である。開始後7分までは音量0の基準線から全体が大きく持ち上げられている。また、下方向に細いひげのような線が延びている。このひげはプツプツというノイズである。7分後(午前6時22分)あたりから音声が挿入されたかのような、全く形の異なる波形が見られる。また、プツプツというノイズも極端に減っている。ここから「小松さんの声に酷似した」(防犯カメラの映像を精査した捜査員の捜査報告書より)怒鳴り声が始まる。「えー」と呼吸を整え、威嚇するような「ムトーやムトー」というかけ声の後「うえのただし、おき(あく)てこいや」という拡声器を使った大音響である。
この「ムトーやムトー」とはどういう意味なのか、以前に街宣で使ったことがあるのかどうか尋ねた。「意味もわからない、使ったこともない」ということなので、「小松さんの声に酷似した」捜査員の声まねの可能性もある。
開始7分後から8分5秒までの拡大図【図2】
(2) No2 午前6時23分49秒から6時31分56秒までの音声波形【図3】
波形はNo1と同じく異様である。25秒から極端に振幅が小さくなり音量が落ちている。下図は開始から1分10秒間の拡大図【図4】
■ 改ざんの疑われる箇所を波形、スペクトログラムを参照しながら指摘する
(1)異様な波形【図5】
6時15分43秒開始のファイル(以降No1と呼ぶ)と次の6時23分49秒のファイル(No2と呼ぶ)を連結する。そのうち継ぎ目部分②付近を拡大する。下図。時間の経過とともに④~⑥間で波形は大きく持ち上げられ、音量0の基準線から離れていく。
①はNo1の末尾、②はNo2の先頭。②の位置がファイルの切り替わり。
他の挿入箇所と同じく②③の箇所で垂直の断面が見られる。増幅と挿入の痕跡と思われる。②から突然音量が上がっている。
(2)ズレを修正した波形【図6】
レポート作成者側で、波形のズレを取る作業を行った。0基準線で上下対称にそろっている。ただし、県警側の編集により増幅されたとみられる波形はそのままである。
県警側でもレポート作成者側と類似の手法をとり人為的に波形をひずませた可能性は高い。
修正後は、基準線でほぼ上下対称となる一般的な波形である。垂直の黒線より右側がNo2、無音(環境音)部分がNo1と比べて太く表示されている。左側のNo1は音節の波形ごとに増幅させているが無音(環境音)部分は増幅されていない、右側No2は波形をまとめて選択し増幅したという加工方法の違いが原因と推測される。自然発生的ではない。スペクトログラムの項でも後述する。②③には垂直の切断面が認められる。
(3)スペクトログラムの表示【図7】
色の明るさで音の強さを表す。どの周波数の音が強いか視覚的にとらえることができる。(青[弱]→白[強])(縦軸0.0kHz~4.0kHz)
下図はNo1のファイル全体とNo2全体をつないだ16分間のスペクトログラムである。②が繋ぎ目となる。色の違いに注目していただきたい。
①は容疑者の第一声「ムトーやムトー」の始まる位置。①より左の赤(ピンク)はノイズ混じりの環境音の大きさを示す。①~②の環境音(背景の音)の強さは水色と赤の縞模様で表されている。拡声器の鳴っていない時には、実際の背景の音の強さは一定のはずである。②~③の間は環境音も赤で表示されている。③以降は水色である。次図では①~③の範囲の時間軸(X軸)を32倍に拡大する。
(4)拡大したスペクトログラム【図8】
①はファイルの継ぎ目。①~②は第三者(Y警部補の証言より)が「うるさいぞ-」と叫ぶ場面。連続した一連の流れであるにもかかわらず①を境に突然音量が上がり音の強さ、背景全体が赤で表示されている。No2では環境音のノイズも増幅されている。左側No1では無音部分は選択せず、音節ごと(一つの波形)に区切って選択し増幅加工したものと思われる。それに対して右のNo2は音節ごとに増幅せずに、まとめて増幅している。これが背景音の色の違いに表れている。
④も容疑者が出したとみられる“つぶした”声質で、流れからすると③と同等の音量と思われるが増幅はされていない。④では③と同様の赤の柱状模様は見られない。人為的な改ざんを疑わざるを得ない。
(5) ハウリング音の挿入
【図9】音の前後に垂直の切断面が見られる。No2の23秒50~25秒15辺り。
ハウリングの範囲は 23s:50 - 25s:15 |
■ 時間的な制約があり、図入りで説明できた箇所はわずかである。証拠提出された音声ファイルには、他にも多くの改ざんを疑わせる箇所が存在する。以上
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